50代に入ってから電験の勉強を開始し、3年で電験三種&電験二種ホルダーになった 50代のボクです。素人ですが、過去問の解説を試みます。自分で解くなら こんな感じ を分かりやすく示したいと思います。
令和3年度 第三種電気主任技術者試験 理論科目 問2
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2022/07/image-2.png)
点電荷問題です。ほとんど数値がなく、公式を覚えているか聞かれているような問題ですが、電界、電荷の関係がイメージが出来ているか 問われている気がします。公式をきっちり覚えている人、イメージできている人は瞬殺 です。
使う公式は以下です。
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2022/07/image-7.png)
Q:電荷、r:距離、ε:誘電率、S:面積、E:電界の強さ
覚えるべき公式
左の部分を覚えて、本番で思い出せれば一番いいです。これ ⇓
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2022/07/image-5.png)
ですが、実際 勉強を続けると覚えるべき公式が多くて、思い出せないこともあります。
分母のrは2乗だったっけ?3乗だったっけ?とか、εは分母で良かったっけ?とか。こんなふうに不安にならない人は次章を読む必要はありません。
イメージから導出する場合
公式の暗記が苦手な人は公式の意味を覚えてイメージから導出しましょう。その場合、覚えるのは両端の F = EQ になります。その代わり、イメージから、他の部分の導出必要です。 簡単な式を組合わせて、求める式にたどり着くことになります。
F = EQ (= EQ2)
これは電界Eにある電荷Q2には力Fがかかる ということで、簡単でイメージしやすい式です。ここで、Eは電荷Q1によって発生する電界です。電界の定義を示す式でもあります。
ところで、電荷Q1からは、電束という矢印がQ1本でています(電荷=電束本数)。これは四方八方に満遍なく出ています。イメージはこんな感じ。(図作るのが面倒なので手書きです)
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2022/07/IMG_3972.jpg)
そして、電束密度=D、電界の強さ=Eとすると 、DとEの関係は以下です。
D = ε E
これは、周りの空間に満たされている物質が何であろうとQは不変なので電束の数は変わらない=位置による電束密度も変わらない。ただし、実際に電荷に作用する力は変化する=電界は変化する。
この周りの空間に満たされている物質が変わったときに、電界の変化を補正する係数が ε であることを考えると、D = ε E はイメージできます。ただし、E= ε Dと迷うかもしれません。(後述)
電束密度は『密度』という言葉に注目すると、電束数を表面積で割ったものであるので
D = Q1/S
であることを思い出す必要があります。よって以下が導かれます。
E = Q1/εS
そして、電束の矢印は四方八方に飛んでいるので、点電荷から一定距離rの形状は球であることを考えると電束密度を導出する面積Sは半径rの球の表面積になります。
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2022/07/image-9.png)
これらより、電界 E が導かれました。
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2022/07/image-8.png)
やっと冒頭の式 F = EQ2 と合わせれば以下が導かれました。
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2022/07/image-5.png)
以下、まとめると
- F = EQ 電界の定義。Qの大きさ、電界の強さに比例した力がかかる
- 電荷Qからは、電束という矢印がQ本でている(電荷=電束本数)
- D = ε E 電界は電束密度に物質由来の係数 ε をかけたもの
- D = Q/S 電束密度というからには電束の数を表面積Sで割る
- S = 4πr^2 面積Sは、距離=半径rの球の表面積
イメージから導出のメリット
さて、イメージから導出するのは、かなり面倒な計算をしています。この面倒臭さをカバーするメリットは
- 間違えにくい?
- 一つ一つの式が簡単
- 応用が効く
1.について。たとえば、分母のrは2乗か?3乗か?と記憶が曖昧で不安になったとき・・・
はっ!!電束密度の『密度』はある面積を通る電束数なので当然面積のはず!面積は2乗に決まっている!と自信を持って回答できます。ただし計算間違いには注意。
2.について。式自体は単純な形だったり、基礎的な面積の公式なので覚えやすいです。
3.について。例えば、平板コンデンサ問題に応用(連想?)できます。面積 s の2枚の平板が距離dで平行に配置され、それぞれに+Q、ーQの電荷が溜まっていたときに、平板間の空間にある電荷qに掛かる力は?などの問題が出たとします。平行平板間の電束は平行に同じ密度で配置されます。先程の式から以下が応用できます。
- F = EQ 電界の定義。Qの大きさ、電界の強さに比例した力がかかる
- 電荷Qからは、電束という矢印がQ本でている(電荷=電束本数)
- D = ε E 電界は電束密度に物質由来の係数をかけたもの
- D = Q/S 電束密度というからには電束の数を表面積Sで割る
簡略な説明は、F = Eq = Dq/ε = Qq/εs
また、電圧=電界の強さ✕距離 と組み合わせれば
V = Ed = Dd/ ε = Qd/εs
別の公式 Q = CV (C:静電容量)と比べれば
C = εs/d
が導かれます。ε:誘電率はコンデンサの特性を決める決定的な要因で、誘電率が高いほうが高容量のコンデンサを作れます。ということはQと ε の比例関係がイメージできます。これを使うと、
『D = ε E だっけ?E= ε Dとどっちだっけ?』と迷ったときにも確認できます。
Q = CV = CEd
一方、Qは電束数なので、Q=Ds (再掲:Dは電束密度)を考え合わせると
Q = Ds=CEd
Cと ε が比例するというイメージがあると 、D = ε E でなければおかしい です。
では、ボクの場合、どうしているかというと、一応、複雑な式も覚えておいて、すぐ不安になるので導出できるようにする です。
実際の解答
式より 誘電率 ε は分母にあります。比誘電率は真空の誘電率との比なので、比誘電率が1⇢2なら、ε が2倍に増えます。よって静電気力は1/2になります。選択肢は(3)
余計なことばかり書いて、また1問しか進みませんでした。素人解説は進めます。