50代のボクです。50代半ばにして何とか電験三種、電験二種に合格できました。その経験などを書いています。前回は公式ノートについて書きました。
前回のおさらい
- 電験のテキストを読みながら公式を暗記するためのノートを作っていきました。
- テキストから選んで記入した公式の数が膨大になり、覚えられないくらいの量になりました
- 結局さらに厳選した一部の公式のみ覚えることにしました(ピンク公式)
- 残りの公式は覚えた公式から導出することにしました
ということです。
当然 数学の公式や単純な公式(機械科目のrpmと角速度の変換など)は覚えている というか知っている前提です。
角速度ω=N*60*2π (N:回転数(rpm)
『うっ』となった人は、ボクの場合より数学に当てる時間が多く必要です。文系の人には、そういう人もいると思います。理系の方でも、数学や物理なんて、学生の頃しかやっていない。もう忘れた という方もおられますよね。50代の方は30年ものの記憶を引っ張り出す作業になります。そのような方は、ボクの方法ではなく、公式を丸暗記作戦にするのもアリだと思います。
具体例
写真は電験三種 理論科目 2013年の問4を解いているノートです。この問題は以下でした。
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2022/01/Screenshot-2022-01-14-06.26.50.png)
理論科目らしく、本質を知らなければ解きにくい問題と思います。
四角形の電極Bですが、4本の電極の内、電極Aと直角に配置された上下2本は力が釣り合って無視できることを、まず見抜かなくてはなりません。(この2本は電極Aが発生させる磁界の大きさが場所によって変化するので、計算すると複雑なのですが、同じ値で方向が逆になるので無視すれば良い事がわかります)
残り2本が電極Aとの距離の違いにより力を発生させる というところを見通してから実際の計算が始まります。
覚えておくべき公式は3つ。
F=Bil ・・・(1)
2πrH=i ・・・(2)
B=μH ・・・(3)
F:力、B:磁束密度、i:電流、l:電極長さ、r:半径、H:磁界の強さ、μ:誘電率 です。
(1)は理系の人は高校のときに覚えたかも。ボクは一回思い出したら改めて覚えるという意識はありませんでした。(3)は見覚えはありましたが覚え直し。(2)は記憶になかったレベルで、何かあったな で厳選して意識して覚える公式ですね。
(2),(3)は前回 公式暗記用ノート (その1) で示した写真のピンク公式です。
(2)、(3)からHを消去して
2πrB/μ=i
B=μi/2πr ・・・(4)
(4)を使って電極Aから距離rのところの磁束密度を求めるとi=IAなので
B=μIA/2πr ・・・(5)
電極Bの左右電極に発生する力Fは(1)式にi=IB、l=aを代入して
F=BaIB ・・・(6)
(6)と(5)より
F=μaIAIB/2πr ・・・(7)
Fの内、左側の電極にかかる力をFh、右をFm とすると、
Fh=μaIAIB/2πd
Fm=μaIAIB/2π(a+d)
両者は方向が逆なので電極Bに掛かる力Fは両者の差を取って
F=FhーFm
=μaIAIB/2π ✕ {1/d−1/(a+d)}
=μaIAIB/2π ✕ (a+d−a)/{d(a+d)}
=μa2IAIB/2πd(a+d)
ボクが解いているときには値はあっていますが方向を間違えています(恥)。
(2),(3)式から(4)を導出して、(4),(1)から(7)を導出するのがキモとなります。試験本番では式(1)〜(3)のみが最初の材料になります。
まとめ
以上の解き方を実際のノートで行ったときがアイキャッチ写真です。結局、公式は試験本番で頭から捻り出さなければなりません。その時、上記の様な過程をなるべく速くできるようにならなければならないのです。『磁界内の電線にかかる力だとすると、公式はあれとこれと・・・。選択肢からすると、Bを消去するので、これとこれを組み合わせて、・・・。iはこの公式ではIA、こっちはIB・・・』などと考えています。
公式は、ぼぅっと暗記して意味を理解していないと、IAとIBとをこんがらせる、長さや距離がこんがらがる などするので、ボク自身は厳選した公式を鍛える方法を取っていました。その方が電験二種の一次試験理論にもついていけました。
式の羅列が多く、分かりにくかったかとおもいます。また、数学、物理が得意な方には当然なやり方かもしれません。ボク自身は、他の方のやり方を知らないので、誰でもやっている当然のことを偉そうに説明したのではないか という危惧を持っています。参考になれば嬉しいのですが・・・。
以上です