50代のボクです。50代に入ってから電験の勉強を開始し、3年で電験三種、電験二種ホルダーになりました。今回はちょっといつもと異なりますが、今回は前回の解説で気になった、電界、電束(、磁界、磁束)について解説を試みようと思います。素人解説なので電験二種合格者でも、この程度ということでご勘弁を。
見えない矢印
前回の解説(令和4年度 理論科目 過去問 問1)をしていたときに感じたのですが、電界、電束、磁界、磁束 これらがこんがらかりそうでした。ボクが現役受験生として勉強していたときも中々苦戦していました。これらは、(磁束以外)目に見えない矢印=何か曖昧で観念だけで理解するしかない、◯界と◯束が何か似ている こんなことが分かりにくかったり混乱しそうになる原因と思います。
電界と電束
電束は電荷の正から負に伸びる矢印です。コンデンサなどの絵に書くと何だか充電されている実感が湧いてくる気がします。と、言うかコンデンサ関連でしか出ていない気がします。
電界は、1C(クーロン)の電荷が受ける力の大きさと方向を矢印で表したものです。電界は頻出なのできっちり理解しましょう。
ややこしさの原因は、コンデンサに電荷が存在すれば発生する、そっくりな形の電束の矢印と電界の矢印のためですね。
では、電束と電界の違いは?
基本の公式は(平板コンデンサの場合)
Q=CV (Q:電荷、C:静電容量、∨:電圧) (1)
∨=Ed (E:電界の強さ、d:コンデンサの電極間距離) (2)
C=εS/d (S:コンデンサ電極面積、ε:誘電率) (3)
これらより
Q=εES (4)
が得られます。
(4)式より、Qは電荷なので電束の矢印の数と等しいです。Eは電界の強さなので電界の矢印の数です。つまり、式はQとEが比例していることを示しています。矢印がそっくりなわけですね。
ただし、(2)式よりEと∨の関係を示す式の中に ε が入るわけではないので、コンデンサの電極の間を満たす材質が何かは電圧、電界の強さは関係無いというわけです。
一方(4)式より ε はQに入っています。電束は材質に左右されます。よって以下のようになります。
- コンデンサの両電極間に掛かる電圧によって電界の矢印の本数≒電界の大きさは決まる。コンデンサに貯まる電荷には関係ない。
- コンデンサに貯まる電荷によって電束の矢印の本数が決まる。コンデンサにかかる電圧には関係ない
- ただし、同じ電圧がかかったコンデンサは、誘電率(材質)によって貯まる電荷が変わる
3つ目の項目によって、ゴチャゴチャします。
以上を意識して、前回解説した問題の 選択肢(3)を見ると
![](https://50dainoboku.com/wp-content/uploads/2023/01/image-3.png)
電界の大きさは、コンデンサに掛かる電圧によって決まる。間違いです。
誘電率によって同じ電圧がかかっても貯まる電荷は変わります。よって、選択肢(3)の 『電界の大きさ』→『電束密度』 、『小さくなる』→『大きくなる』 に変えた場合、正しい になるかも ということです。
磁界と磁束
上述の、前回解説の問題は、磁界 磁束の問題ではありませんでした。とりあえず同じ矢印の連想で磁界と磁束に触れます。
電気の世界では電界がよく出題されるのに対し、磁気の世界の方は磁束の方が良く出題されます。と、いうより磁束密度の方がMUSTです。
F=QvBsinθ F:電荷に掛かる力 Q:電荷 v:電荷の速度 B:磁束密度 θ:vとBの関係
ローレンツ力という言葉は覚えなくて良いですが、上式は必ず覚えているはず。このような電荷Qに力Fがかかる場所を、磁束密度Bの磁界がある と言うそうです。問題は『磁界の強さ』 です。
コイルの中の鉄心の中に磁束の矢印が通っているのをイメージします。鉄心の中の磁束密度は以下の式で表されます。
B=μH B:磁束密度 H:磁界の強さ μ:透磁率 (5)
つまり、同じ 磁界の強さ のときに 磁束がどのくらい発生するか、材料の特性を示すのが μ です。この(5)式はむしろ、(4)式に似ています。
Q=εES (4)
(4)式を変形して
εE=Q/S
Q/Sは電束密度なので、磁束密度の式と そっくりになりました。〇〇の強さ と ◯束、材料の特性を示す μ、ε の関係は相似になりそうです。
以上のように整理して現役時代は公式を暗記していました。公式は結局 暗記するのですが、ちょっとでも意味を理解しないと覚えにくい、苦痛の多い作業です。今回のような整理をして少しでも忘れにくくしていました。
何か役に立ったら嬉しいです。